「ただいま」



「おかえり…安梨!」




お父さん…!





「仕事休み?」






平日は仕事のハズなのに…!







「お父さん、安梨の為に休んだのよ…!」






私の為に?







「安梨…!
人は色々抱えて生きて行くものなんだよ…!
だから、多分葉山君だってそれを分かって安梨から離れたんだと思う…。」







お父さんの言葉に余計に我慢してたものが一気に泣いてくる…。







「安梨…!
疲れたでしょ?部屋で休みなさい!」



お母さんの優しい言葉とお父さんの温もり…。




きっと葉山君もこの温もり感が欲しかったのかも知れない…。








「…うん!」







ピンポーン〜







誰だろう?








「ハーイ!」








ガチャ〜








「朝早くにスミマセン!」







葉山君のお父さん…!








「どうぞ!」








「お構いなく…!









葉山君のお父さんが来たって事は多分葉山君の事で?







「和泉さん!
昨日勇と遊んでたそうですね?」







やっぱり葉山君の事…。








「あっ、ハイ!
遊んでました!」





知ってたんだ…。




私と遊びに行ったの…!






「その時、勇は行き先とか聞いてなかったかい?」







聞いてたら、今頃向かってます!







「いいえ!
聞いてもないし、手紙だけおいていなくなったんで…!」







お父さんにも知らせてないんだ…。









そうだよね…!






私の前からも葉山君の両親からも離れたんだもん…!








「そっか…!」






おじさんも葉山君がいなくなったって聞いたのか、少しやつれた感じがする…。







「安梨…!
あんたは部屋に行ってたら?」








「でも…!」









葉山君がいなくなって、もっと暴れるかと思ったけど、案外冷静で…。








「父親の俺のせいで、勇はいなくなったんだと思います…!
そのせいで、安梨さんに辛い思いさせてゴメンなさい…!」








おじさん…!








「いいんです…!
きっと帰って来ると信じてますから」







そう信じてるから。






あの手紙を信じて…!









「俺はダメな父親なのかも知れないですね…!」






そう呟いて帰って行った葉山君のお父さん…。








きっと葉山君も後ろを向いていなくなったのかも…。










「葉山君のお父さん!」







私にはわかります…。







「きっと!
う、ううん!かななず帰って来ると思います!
だから、信じて待ってあげて下さい…!」








あの時はそう言うしかなかった…。










8年の月日が過ぎて行っても…!








〜♪〜♪〜♪






メール?









誰だろう?











「うわー。」








それは麗蘭からのメールだった…!