君に触れたい……。

目を細めて小道を凝視する渡木。


それに俺は少し、慌てた。


雪があそこに居ることは、まだ誰にも教えていないから。


……教えたとしても、見えるかどうかは判らないが。


そもそも、俺が見えていること事態不思議でならないのだから。


「あー、渡木。もう行こうぜ?」


そう曖昧に流して、俺は不満げな渡木の腕を引っ張って校舎へと退避した。