君に触れたい……。

季節外れの雪みたいで、とても綺麗だった。


「綺麗……」


うっとりとした表情でそう呟く雪。


俺は雪を見遣り、微笑んだ。


とても口には出せないが、舞う桜の花弁よりも、それを見上げる雪の方が、綺麗に見えた。


不意に立ち上がった雪が、俺に向かって言う。


「鈴君! 可愛い?」