ばかって言う君が好き。



「また遊びに来てね、直人くん。」

「また飲もう!」
 玄関で見送りしてくれる父と母、姉もその後ろで笑っている。

「今度はゆっくり遊びに来させていただきます。」
 直人の表情も柔らかい。玄関から出て手を振り別れを告げると、真っ暗な道を二人で歩いた。

「どうだった?」

「楽しかった。」
 行きとはまるで違う彼の表情、私の口元も緩んだ。

ふと右手にぬくもりを感じる。
それが何であるかすぐにわかった。

「…お父さん見てるかもだよ?」
 クスクスと冗談っぽく告げる。

「こらー!って言われるかな。」
 ハハハと彼が笑った。

「本当来てよかったよ。」
 隣を車が通り過ぎた。彼が私のほうに軽く寄って立ち止まる。

「よかった。……明日は野菜鍋でもしようね。」
 彼の右手には貰った野菜がたくさん入った袋が提げられている。

「だね。」
 私たちはまた歩き始めた。

「まぁごはんの心配の前に。」

「何?」
 彼が唇の端をぐにゃっと曲げた。

「来週は倫子が俺の実家くるんだから、服選び手伝ってあげるよ。」


「あー!」
 すっかり元の調子に戻った直人をよそに、今度は私が緊張に包まれたのだった。