ピシャ。
カーテンを開けると同時に、あたたかい光が部屋に差し込んできた。

「わあ、いいお天気。」 
 言葉が思わずこぼれてしまう。

「ん~。」
 私じゃない誰かも、そんな陽気に誘われて目が覚めたみたい。
そう…私は今、1人じゃない。

「直人朝だよ、起きて。」
 私はベッドに座って、まだ寝ている彼の肩をトントンと優しくたたいた。

「今、何時?」

「9時だよ。」

「……。」
 また眠りにつこうとしているのか、返事がない。返事してよと、私は寝癖でいつもよりふわふわになっている彼の髪に触れた。

「倫子の手、落ち着く。」
 でもそれは逆効果だったみたい。
布団にくるまったまま、私の膝に彼は乗ってきた。

「あ、もう、私ご飯作らなきゃだから、だめだよ。」
 膝から降りてとばかりに彼の頭を数回ポンポンするのだけれど、彼は動く気はないようで、

「んー、もうちょっとだけ、お願い。」
 彼の腕が私の腰に回ってくる。

甘えん坊な彼。
もう起きなくちゃなんだけど、彼におねだりされちゃ勝てないわけで、

「しょうがないなあ、あと5分ね。」
 私は彼の頭に口づけをする。するとそれに反応するかのように、彼が私の顔を膝に乗ったまま見上げてきた。


「なに?起きる気になった?」
 彼はすぐにふるふると首を振ると、

「俺にキスしたから5分延長ね。
はい、10分~」
 寝ぼけた表情から、見慣れた悪戯な表情へ。

「もう、ばか。
5分短縮です!早く起きてよね!」
  少し笑ってしまいながら、ベッドから降りて部屋を出る私。

だってこのままベッドにいてしまったら、そのうちまた彼と一緒に寝ることになって、時間をつぶしてしまいそうだから。