1時間が過ぎた。話題も尽きて、そろそろ寝るころかななんて思っていた。
「倫子。」
「ん?」
あくびを漏らしながら私は返事した。
「来月……会おうか。」
「え!?」
眠気が一気に吹き飛ぶ。
彼はメガネを置いた。
「本当に?」
思ってもなかった彼の言葉。
会えるの?本当に?
大好きな直人に?
幸せな想像が膨らんでいく。
でもすぐにぷしゅーと音をたてて、風船はしぼんだ。
彼の気持ちを考えると、大きな負担になるんじゃないかな…。
会えたら嬉しいけど、本当幸せだけど、それで彼が苦しむのは嫌だった。
「1泊2日ぐらいしかできないけど。
俺、そっち行くよ。」
「でも直人、今大変でしょう……?」
「大丈夫だよ。」
微笑んだ直人。
「だけど……」
負担になりたくないの。
私は言葉をのみこんだ。
「なに?会いたくないのー?」
私の心配をよそに、彼はふてくされた顔でそう言う。
「もう!会いたいよ…そりゃ。」
「決まりね。どこ行こうか!」
裏を感じさせない彼の笑顔。
あそこもいいなー、あそこも、そうぶつぶつと彼は一人呟いて、もう計画をたてはじめているみたい。
「倫子はどこに行きたい?
俺倫子とだったらね、やっぱりどこでもいいや。」
やさしく告げてきた彼に、私はつられて笑った。
もう2時間もしているテレビ電話。
今日は……もう少し続きそう。