ばかって言う君が好き。


 2度目なのに楽しい気持ちは薄れるどころか、前よりもっと増しているみたい。

「前来たときは、手もつながなかったよね。」
 懐かしいなあと私は彼を見つめた。

「……スカートにメロメロで。」

「前きたときは、直人そんな冗談一つも言わなかった。
もっと、倫子ちゃんこれ綺麗だよ!みたいな紳士な人だった。」

「うるさいなあ!」
 笑いながら怒った彼。

「倫子だって、 わあ綺麗ですね!なんて言って、もっと大人しかった。」

「うるさい。」
 お互いをからかって、あの頃の私たちと今の私たちを比較する。

今でも緊張するけど、どこか違う。
緊張してもこの人の隣、落ち着くって思えるような…。

こんなくだらないことを楽しめる関係になるなんて思ってもみなかったし。

そして、“今の感じ”も―――


「倫子、前来たときはペンギン見れなかったからペンギン見ようか。」

「そうだね。14時だっけ、始まるの。」
 彼が手に持っていたパンフレットを覗き込む。

「30分前には行った方がいいから、もう行こうか。」
 ベンチで座って休憩していた私達。
彼は先に立ち上がると、私の頭をくしゃくしゃっと撫でて手をにぎる。

楽しくて、愛しくてたまらないデート。
それでも今も、時計の針は進んでいる。

彼の笑う顔を見るたび、どこかでそう私は考えていた。