ばかって言う君が好き。



「倫子、18日水族館行こうよ。」

「うん……いいけど。」
 彼はそう言って、以前行ったことのある水族館のパンフレットを机に置いてきた。

「2回目だけどいいの?」
 私は見覚えのあるパンフレットを見つめ、以前の水族館でのデートに思いをはせる。
緊張してばっかだったあの頃の記憶。

「もちろん。決まりね。」
 彼はくしゃくしゃっと私の髪をかき乱して、コップを流し台へと持っていく。

「倫子、もう寝よ~。」
 そのまま寝室へと先に直人は移動した。

「うん。」
 返事だけして私はパンフレットから視線をまだ離さない。

18日か。

18日―――彼が遠くへ行ってしまう日がだんだん近づいている。

水族館に行く頃には、彼とあと9日しかいれない。

この前見たドラマも、もう数回しか一緒に見れない。
着実に近くなっている“それ”。

でも、彼は何も言わない……

どうして何も言わないの。
どうして笑ってくれるの。
どうして黙ってるの。

私は電気を切って彼の隣に寝転がる。

腕枕をして、優しく「おやすみ」と微笑んでくれる彼に、その日は背を向けて眠りについた。