ばかって言う君が好き。


「今日、ドラマの日だよ。」
 テレビで番組表を開いた私は、11時のところにあるそれを確認した。

「みよみよ!」
 寝室で明日のお仕事の支度をしていた彼も、私の隣に座ってくる。

私の好きな俳優さんも出ているドラマ。
録画もしているのだけれど、このドラマだけはリアルタイムで絶対二人で見ることに決めている。

じゃないと先に見た片方がネタバレしてしまって、ちょっとした口論になってしまうから。

片方といっても、大体彼がネタバレするのだけれどね。

「大喧嘩してたところで終わってたからな。
今週どうなるかな。」
 彼がついできたコーヒーを飲む。

私はその日、家に仕事を持って帰っていたので、静かに書類をまとめながら見ていた。


「あたしずっと我慢してた。
あんたの嫌なとこも全部目つむって。
あんたがこれからどうするかとかの話したがらないから、自然にその話題避けて。

全部、全部あんたの都合に……」

「……うん、分かってる。ずっと気遣わせてって。」

「分かってない!!あんたは分かってない。
6年付き合って同棲して、あたしたち28になって、それで何?これが初めてのけんかよ!

あたしたち……きっとずっとこうよ。
お互いの傷を触らないように触らないように。傷つかないように。
 
でもそれって付き合ってるって言えるかな。
私たちの6年って……なに?」
 悲痛に顔をゆがめた主人公が、彼とずっと一緒に住んでいた家を飛び出す。

女の人の名を叫んで、彼は彼女を呼び止めるものの、足は追わないまま。

そこで急に真っ暗になったテレビ画面。

映し出される彼と、私。

二人とも画面を見つめているのに、目は合わない。
チッチッ、時計の針の音だけが響く。

次回予告が流れた。

「さあ~て、支度したく。」
 彼はそれだけ言って、コップを台所へ持っていった。