でも、……ここからが彼の意地悪なとこ。

「倫子がようやく24になってくれたし、また2歳差ですね。若者!」
 さっきの笑顔と裏腹な意地悪な顔。
口調も私をおちょくっている証そのものだ。

「……もうケーキあげない。残りは持って帰る。」
 箱に残りのケーキをしまうと、彼にとられないよう腕一杯に私は持ち上げた。

「だー!冗談だってば、ごめんってば!」

「26歳うるさいよ!」

「年寄りはまだ元気なんですー!」
 彼の小さな反抗。

でもそんな彼が可愛くて。
ケーキを机に再びおいて、私は直人の肩に体重を預ける。

「あ、ケーキ返してくれるの?」
 急に近寄って肩にもたれかかった私に触れず、そう言う彼。

「もうそう言って、照れくささ隠そうとしなくていいから。」
 私は笑って彼の手を握る。

「ばれちゃった……。」
 彼もぎゅっと私の手を握る。


「直人と付き合えて、本当私幸せ。
いつもありがとう。」
 照れてるのか、何も言わない彼。

「ずっとこうしてたい……」
 彼の甘いにおいにますます溺れる私。

「…………うん。」
 直人はぎゅっと強く、また手を握り返した、

浮かない表情を浮かべて―――。