「お腹ちょっと大きくなってたね。」
「ああ、お姉ちゃんのこと?」
挨拶に行ったとき、直人は軽く姉のお腹を触らせてもらっていた。前は会うことができなかった、健くんともようやく面会することができ、お酒を二人で酌み交わしていたこともよく覚えている。
「お義父さん……って真っ赤になって言ってたしね、直人。」
肩を揺らして私はくすくすと笑った。
「倫子だって、お、お義母さん、って感じだったじゃん。」
「それはしーだよ。」
「なんだよ、それ。」
直人の口元が緩む。
「大切な人がいっぱい増えたね。」
手を伸ばして、彼の頬に私は触れた。
「だね。」
「夏は弟君たちが泊まりにくるっていってたし、楽しみだなあ。一気ににぎやかになりそう。」
「あいつらうるさいからなあ。」
そう口では言うものの、彼の表情は綻んだまま。
「お兄さんはじめてだったけど、お義父さんにそっくりだね。
びっくりした。直人はお義母さん似なのに。」
「えーそうかな?」
「うん。笑顔がお義母さんそっくりなんだよ。」
「倫子は似てないよね。」
「んー、お姉ちゃんとも似てないねって言われるしね。」
「違うよ。」
彼がフルフルと首を振る。
「お義父さんも、お義母さんもしっかりしてるし、抜けてないもん。」
言葉を発した途端、直人はハハハっと笑った。
「もう!」
私は彼の体をぽすっとたたく。
「ごめん、ごめん。」
笑いが収まっていない彼。


