「はー、なくなった。口の中甘ったるすぎる。
コーヒー飲もうかな。」
「私入れるよ!」
彼が立ち上がろうとする前に私は立っていた。
「倫子いいよ?」
「いいのー。」
笑う私。クリープを少なめに、いつもより苦めに作った。
こげ茶色のコーヒー…。
今年はこれが彼へのバレンタイン。
会社の人から貰った甘いお菓子に始まり、私が彼に口直しするものを作って締める。
ケーキも彼がお風呂入っている間に食べるか捨てるかすれば、ばれてしまわない。
うん、気にすることない。
だって、直人
女の人とは何もないって言ってくれたから―――
そう考えながらも、一瞬先輩の顔が浮かんだのは、やっぱりあの一言が心に引っかかっているからに違いなかった。
「女の人と二人で。」
「どうぞ。」
「ありがと。うわ、ちょっと苦めに作ってくれてる、優しいなあ。」
大丈夫、笑えてる。彼がよく笑ってくれる人でよかった。私もつられて笑ってしまえれる。
私も一息つこうと、自分の分のコーヒーを作ろうとした。
私もクリープ少なめにしよう、口直ししたい。
そしたら、いつもの私。彼と笑いあう私。
またくだらないことで楽しめる私達。


