気づいた時には私は涙をこぼしていた。
彼に深いほどの愛をもらったばかりなのに、信じれない気持ちもあるのは、先輩の言葉を聞いてしまったから。
二人きりにならないようにしてる、そう言ってくれたのに。
嫉妬もしてくれて、
悩んでいたことを相談してくれて、
好きだと言ってくれて、
抱きしめてもくれて、キスもしてくれて。
でもでも、そうやって愛を確認するたびに、私の心はぎゅっと締め付けられる。
なんで?
なんでこんなに愛してくれるのに、うそをついたの?
“彼女”とのことごまかすからなの?
なんで、二人で飲むことはないって言ったくせに、二人で飲みに行ったの―――?
遠距離恋愛の時には知らなかった、彼の会社の人との付き合いの面。
でも一緒に住んで分かる、彼の私生活。
遠距離の時もこうだったのかな、もしかしたら彼、他の娘と…?
そんなはずないのに、私の中にどんどんどんどん、もやもやした感情が広がっていって、疑いの種が芽を咲かす。
いっそ一緒に住まなかったら、
知らなくても済んだのかもしれない。
遠距離がよかったかも。
別れる寸前にまでおいこまれてしまったあの憎い距離に、そうすがってしまったのはこの日がはじめてだった。


