「あ、大丈夫です、いつもこの時間でも一人で帰ってますし。」
私はポチっと、シャットダウンのボタンを押した。
「神沢さん飲みじゃないよね?」
私の目を見て問いかける先輩。
「お仕事だと思いますよ。」
私はかばんに、ペンやら書類やらを入れていく。
「リンリン、神沢さんとちゃんと話したんだよね?」
先輩は手を止めたまままっすぐまたそう問う。
「はい。」
「本当に?」
「…はい。」
「なら俺の考えすぎか!」
さっきまで緊張な面持ちで話していた先輩がうってかわって、いつもの調子に戻った。先輩は止めていた片付けの手を、進め始める。
「リンリンって、意外だね。
結構余裕なさそうなタイプに見えるのに。」
「余裕ないですよ。あ。」
入れ忘れていた消しゴムを、ポトンと落としてしまう私。消しゴムを拾って差し出す先輩。
「え、でも許してるんでしょ?」
「何をですか?」
ウー、パソコンがつらそうな音を立てる。
「女の人と二人で食事行くこと。」
プツン―――電源が切れた。


