「リンリン、気にすんな。
新年早々後輩が残業してたら手伝ってやりたいって思うのが、先輩だよ。」
「…でも。」
私の手はついに止まった。
「ほら、手動かせ!俺より遅かったら、神沢さんに言いつけるぞ。」
疲れた表情の先輩はいずこやら、私の心配を飛ばすように先輩はおどけた口調で私をさとした。
「はい!」
後腐れなく、こんなすがすがしく元の関係に戻ろうなんて簡単にできることじゃない。
でも、先輩はやってしまうんだよね、
笑って思いを隠して。
心では辛いのだろうと思うのだけど、私がそれを指摘したら先輩の我慢は意味をなさなくなってしまうわけで。
本当一番に尊敬してます。
仕事面でも、人間性でも…。
「終わったー!」
天井に突き刺すように伸ばした両腕。
すぐにデータの打ち込みは終わったのだけれど、他の仕事が残っていたことが発覚し、結局2時間ぐらいかかってしまった。
「あー、やっぱり手伝うんじゃなかったかな。」
冗談交じりに、背もたれにひどく寄りかかりながら先輩は言った。
「本当ですね。」
私達は顔を見あわせて笑った。
「神沢さん呼べば?もう20時回ってんだし。
俺が送ってやるのはなぁ。」
腕時計で時間を確認すると、先輩は帰り支度をしはじめた。
「そうですね。ちょっと連絡してみます。」
トーク画面を開く。
「あ、今日彼も遅いみたいです。連絡来てました。」
「……。」
先輩の手が止まる。


