ばかって言う君が好き。


 私と直人は、それから二人で帰った。いつもの道を二人並んで。

彼が持っているビニールの袋が歩くたびに音を立てて、うっすらと見えるお酒の瓶が、ああ私と飲むために買ってくれたものなのだと気づかせてくれた。

ガチャン

「ただいまー」

「おかえりー」
 二人で帰った時でも必ずそう言っていたのに、ここでも私たちは何もしゃべらないまま。

私より先に直人はリビングに入ると、上着を脱いでネクタイを緩めた。

彼はいつものテーブルのところに座って、私もお水をコップについで、かたんと二つ置いて座る。

直人も私もうつむいたまま。
彼がごくっと先に水を口に含んだ。


「……いつもならもう1人、男社員さんがいるんだけど、今日たまたま休みで…。

さっき、そのこと携帯に連絡したんだけど。」
 私はポケットに入れていた携帯を取り出して、ピカピカと通知で光るランプに、画面を開かずとも、彼が連絡をくれていたのだと気づかされる。

『ごめん、今日玄野と帰ることになりそう…。』
 私を気遣って、そう彼は送ってくれていた―――。

私、なんてものを彼に……

「あの、今日飲みすぎて、足ふらふらしてて、先輩とあそこで別れようとしてたら足くじいちゃって、それでえっと…」
 慎重に、慎重に、言葉を選んで。傷つけないように……。

「うん、分かってる。倫子の事信じてるし。」

「直人……。」
 頭を抱える彼。

「でもさでも、分かってんだけど―――」
 苦痛に顔をゆがめた彼。

私を一瞬見て、
直人はそのまま私を押し倒した。

「直人っ」
 聞いて、そう言う前に

「あっ。」
 ふさがれる唇。

抵抗する腕もぎゅっと掴まれて、床におしつけられたまま。

「…ん。」
 こぼれるのはあつい吐息だけ。