ばかって言う君が好き。


 店員さんの大きな声に見送られて、私達はすっかり暗くなった町にくり出した。

1時間30分。
先輩のペースについ乗せられてしまって、少しオーバーしてしまった飲み合い。
お酒も予定よりも大部多く飲んでしまっている。

「リンリン、最寄り駅まで送るよ。
ふらふらだし、もう9時回ってるから。」

「え、いいですよ!逆方向じゃないですか!」

「いいからいいから。ほら置いてくよー!」
 先に歩きだした先輩。最後まで先輩のペースにはまってしまう私。
なすがままってのは、こういうことをいうんだろうな。

「神沢さんたちは、どこで飲んでるんだろうね。」

「大勢で飲んでると思いますし、大通りの店じゃないですかね。」
 この日に限っていつもより高いヒール。歩くのが遅くなってしまう。

酔いが回ってるからなおさら。
先輩もたくさん飲んでいたはずなのに、お酒に強いみたいで、私とは違ってしっかりとした足取りだった。

「これからちょっと大通り歩くし、偶然会うかもだよ?」

「それはないと思いますよ。
まだ飲んでるはずですし、大通りは端から端まで広いんですから。」

そういったものの、がやがやとした大通りに入って、スーツ姿の男の人とすれ違うたびに、直人の顔が思い浮かんでいた。

いつもなら、とっくに家にいる時間。
直人は会社帰りに飲んだら、こんな中を帰っているんだ――――。


「それもそうか。
でも、飲んでるところも詳しく知らないなんて、神沢さんのこと信じてるんだね。」

「……そう、ですね。」
 それから私たちは、特に目立った話をしないまま。

でも沈黙はさすがに気まずいから。

帰ったら何する?

お風呂ですね。

俺、入浴剤入れようかな。

いいですね。

そんな話。

「あ、ここでいいですよ。奥はいって曲がったら、近道なんで。」
 私はいつもの道につながるところで止まった。