私は階段を駆け足で登った1秒でも速く唯都に会いたかった。


私はそのままノックもせずにドアを叩き開けた。

唯都は起きて本を読んでいた。


「どうしたんだ玲波。」


きょとんとしている唯都に私は思いっきり抱きついた。

この背中が私を救ってくれたんだと思うと涙が止まらなかった。


「...ありがとう。...ありがとう。」


私はうわ言のように呟いていた。

唯都は私が傷のことを言っているのだろうと分かってくれたみたいで、泣きじゃくる私の背中に手を回しふんわり包んだ。


「大丈夫だから。ほら泣きやめ。」


その声は甘く優しく体の奥深くまで染み渡るようだった。


「私のせいで...」

「俺も青兄も玲波のせいだなんて思ってないぞ。こういう運命だったんだ。」


布の上から触った唯都の背中は痛々しいぐらいに傷痕が浮んでいた。