ガヤガヤとした9時半の時計台前。


家から少し歩くと、駅のホームにつく。


時計台は、その駅のホームの真ん前。


デートの待ち合わせだとか、私のように友達との待ち合わせ場所だとかに使われている。


「…ごめんごめん!遅くなった?」


「い、いえ。」


遅くはなってないんですけど…服装が。


冬なのに超ミニのパンツ。


足はヒール付きのスニーカーで、その他は素足。


上はダボっとした紺色のパーカー。


中に見えるのは真っ黄色のニコちゃんマークの描かれているシャツ。


首には十字架のネックレスで、頭には青のキャップ。


まさに男子系女子と呼べる美人が、私の目の前にいる!


「聖夜はかわいい服が似合うね。私は馬子にも衣装だからなぁ。」


「そんなことないです。私あんまりかっこいい服が似合わなくて…だから、ゆうちゃんが羨ましいです。」


大真面目に答えると、ゆうちゃんは大笑い。


「だから、敬語やめてよね。」


「あ、ごめんなさ…ごめん。」


パーティなんかじゃ年上の人しかいないから、敬語を使うのが当たり前で…


うーん…これは慣れるまでに時間がかかりそう。


「あははっ!」


その悩んでいる姿が面白かったのか、ゆうちゃんはまた笑う。


白い歯を見せて、大きな口を開いて。


あ、ちょっと口紅してる。


本当におしゃれさんだなぁと思う。


「ま、今日は気楽にいこう。友達になった記念ということで、楽しまなくちゃ損!ね?」


ぱちっとウィンク。


「うん!」


こんなにウィンクが似合う人はじて目見た。


背は高いし足も長いし…イケメンだ。


「さあ行こう!」


ゆうちゃんは冒険の旅に出るかのように軽やかに告げた。


私はゆうちゃんの差し出した手をとった。


「うん!」


そうだよね、今日ぐらいは楽しまなくちゃ!