お嬢様 × 御曹司

メインの食事も終わり、食後のデザートタイム。


お客さんも増えてきて、ゆうちゃんは私たちにかまってる暇がなくなったみたい。


私たちはチーズケーキと紅茶をゆっくりと味わっている。


「本当に美味しい。このチーズケーキ。」


「この間も会場でチーズケーキ食べてたし、好きなのかなって思って。気に入ってくれてよかった。勇輝先輩も喜ぶよ。」


このチーズケーキは主にゆうちゃんが作っているらしい。


「あの見た目で、あの強さで将来の夢がパティシエなんだって。」とたけくんがおかしそうに話す。


それ笑うところじゃないよ…と思いながら私も苦笑した。


そこから、なぜかゆうちゃんに好きな人がいる話になり、それをまたおかしそうにたけくんは話してくれた。


ゆうちゃんは、年上がタイプらしい。


「たけくんは、好きな人いないの?」


いたって自然な流れだったと思う。


私も無意識で、うっかり口から出てしまったという方が正しい。


たけくんよりも、私自身が一番驚いている。


その言葉を発したすぐ後から、周りの声が聞こえなくなった。


自分の心臓の音が、ドキドキと響く。


ただ、たけくんの答えを待つ。


ほんの数秒が、とても長く感じた。


たけくんは、優しそうな笑顔でつぶやいた。


「いるよ。」


いるんだ。


「誰?」


思わず…聞いてしまった。


踏み込み過ぎたかな?


ドキドキがピークに達したときに発せられた言葉は、


「…内緒////////」


ぐるぐると思考が回る。


私が見つめただけて顔を赤くして、私の手をいつも恥ずかしそうに握ってくれて…。


私と話すときは、いつも笑顔でいてくれる。


ねぇ、あなたが好きなのは、もうしかして…