お嬢様 × 御曹司

それからメニューをもらって、オススメの料理を彼から聞いた。


野菜を克服するならこれ!とか、好きなもの食べたいならこっち!とか、デザートはチーズケーキが最高!とか。


身振り手振りがおかしくて笑う私を、彼は首を傾げながら見るもんだから、それがまたおかしくて、私は笑った。


そんなこんなで注文が決まった時、女の人がちょうどよく現れた。


「ご注文はお決まりですか?」


黒の短い髪の毛に、目が大きくて色が白い。


かっこいいのに可愛い女の子だった。


私と2つくらいしかかわらないんじゃないかな?


「何企んでるんですか?ユウキ先輩。」


「えっ!」


私はその女の子をガン見してしまった。


私、てっきりユウキって名前だから、男の先輩だと思ってた。


そのユウキ先輩は不機嫌そうに唇を尖らせた。


「家の手伝いで注文を聞きに来ただけですけど!何企んでるってひどくない!」


そういうユウキ先輩を見てクスクス笑うたけくん。


本当に仲がいいんだな。


-ズキッ


見てるのが苦しいだなんて、私、醜すぎ。


「こんにちは。日野原聖夜だよね?知ってる。」


この辺じゃ財閥の娘は名が知れている。


いろいろなパーティに出席するから、顔だって覚えられてることだろう。


「初めまして。聖なる夜と書いて聖夜です。」


うわ〜!と口を押さえてはしゃぐユウキ先輩。


なんか、たけくんに似てる。


「女の子だね!私もそんな自己紹介してみたいな。」


「先輩、まだ自己紹介してないですよ。聖夜困ってます。」


ユウキ先輩は1度虚をつかれたように動きを止めた。


「あの…」


私がそう声をかけると、弾けるように顔を向ける。


また明るい笑顔に戻って自己紹介を始めた。


「私は勇ましく輝くで勇輝。男みたいな名前と容姿だけど、一応性別は女。女子剣道部部長。武士の一つ上の中学2年。よろしくね!」


そう言って手を差し出してくる。


私は勢いに押されて手を差し出した。


ブンブンと上下する勇輝先輩。


「よろしくお願いいたします。勇輝先輩。」


そう言うと、嫌そうな顔をして首を振った先輩。


たけくんはそれを見て吹き出す。


私は何が何だか分からずキョトンとする。


「学校違うし、勇輝でいいよ。武士は部活の都合上敬語使ってもらってるけど、私堅苦しいの苦手でさぁ。タメ口でいいから。」


「は、はぁ…」


なんか、よく喋る人だ。