お嬢様 × 御曹司

「実は…」


私はあの時森さんから言われたことを話した。


私が普通の人に憧れているところがあって、お嬢様って立場なのは嬉しいけど、辛いところがあること。


森さんに、友達がいないことを指摘されたこと。


そして何より…


「ずっと心の中でひっかってたの。私の居場所はどこだろう?って。本家にも、住んでる別荘にも、学校にも、私の居場所はあるのかって問い詰められて…」


思わず彼の手を強く握った。


彼が握り返してくれたのが嬉しかった。


おかげで安心して続きを話せた。


「普通の人が持てるもので、私が持てないものがある。それはお金じゃ買えないもの。はっきりとした何かとは言えないけど、そういうもの。」


たけくんは、ずっと黙って聞いてくれた。


途中から涙が流れたけど、そこには触れず、優しくハンカチを渡してくれた。


その優しさが、また私の心を温める。


「ありがとう、聞いてくれて。」


彼は首を振った。


「逆に、こちらこそありがとう。教えてくれて。聖夜が何に凹んでいるのかわかった気がする。」


あーもう。


私に優しくしたって何も出ないんだからな!