お嬢様 × 御曹司

「え?たけくんって兄さん見たことないの?」


2人で雑談をしながら歩いていると、たけくんの発言に私は驚いた。


誠様誠様って言ってたから、てっきり、あったことがあるんだと思ってた。


「年の近いひとがパーティにも出席すべきだって言って、いつも行くのは兄上なんだ。だから誠様の出るパーティに俺は出させてもらえなくて…」


そっか。


でも、どちらかというと兄さんのパーティの方に武蔵さんを行かせるのはちょっとどうかと思うけど?


かなりチャラメの人だからなぁ、対応さすがとしか言えないんだけど。


うん、でも私の方がたけくんでよかった。


「そっかぁ。初耳。」


「だろ?でも聖夜は兄上のことは知ってるんだよね?」


「うん。なんかチャラい人ってイメージしかない。」


「ごめんごめん。女の子にはみんなそうなんだ。」


たけくんが謝ることなんて何一つないのに。


本当にたけくんは兄弟思いだし、場を和ませるし。


「好き。」


「えっ⁈ちょ、不意打ち////////」


時々なんの前触れもなくたけくんを見つめて言うと、たけくんはゆでダコのように真っ赤になる。


それは、私がたけくんにそうされても同じなんだけど、たけくんは不意打ちが苦手だから、大体は私が勝つ。


って、ゲームじゃないんだけど。


「聖夜はいっつも俺をからかって。」


拗ねたようにつぶやくたけくん。


そっぽを向いたたけくんを見る。


あ、前より身長伸びてる。


もっと男前になっちゃって。


私なんか1センチも伸びてないのに。


「からかってるわけないでしょ?好きな人に好きって言って何が悪いの?」


開き直って正論を言うと、たけくんは渋々振り返りながら私の手を乱暴に掴んだ。


たけくんの指と指の間に私の指を絡める。


つまりは恋人繋ぎだ。


「俺も、聖夜好き。」


最後はこうやって、顔一面の笑顔で私に好きと言ってくれる。


「////////」


私は、その笑顔に弱いんだから!


たけくんは知っててやってくるから、この勝負はいつも引き分けだ。