お嬢様 × 御曹司

桜野河川敷は、第一橋から第五橋まである。


花火が上がるのは第五橋の付近からで、第五橋は封鎖される。


そのため、待ち合わせとして一番人気なのは第五橋に一番近い第四橋。


そこから、第三、第二、第一の順で人が減っていく。


つまり、待ち合わせしている第一橋はかなり人が少ない。


たけくんが言うには、「またナンパされたら今度は俺が手を出しかねない。」らしい。


私をナンパして何が楽しいのかわけわかんないけどね。


そうこうするうちに第一橋に着いた。


いつものことながら、余裕を持ちすぎる私は、10分で着いてしまった。


待ち合わせの時間まで、あと20分もある。


それなのに、これもまたいつものことになってしまっているんだけど、私より先にたけくがいる。


私は一度もたけくんより早く来たことがない。


私の第一声は、


「お待たせ。ごめん、待たせた?」


で決まっている。


たけくんの言葉も決まって、


「待ってない。今来たところ。」


だ。


自分でもバカップルさ加減に苦笑い。


でも2人ともその会話が好きだから、今もなお続けている。