私の目からは大粒の涙。


なんで泣いているのかはもはや私にも理解できない。


ムードもクソもない告白。


それでも、私の精一杯をたけくんにぶつけたんだ。


どうだ、見たか、女の強さを!


「たけくん?」


そう声をかけながら彼に近づく。


さっきからうつむいたまま反応がない。


私は、たけくんだから関わりたいと思った。


たけくんが大道寺の人間じゃなくたって、きっと私は彼に惹かれたと思う。


だから、それを彼に伝えたかった。


…これが、どんな形で終わろうと。


数分の沈黙は、何時間という長さに感じた。


なんの前触れもなく立ち上がった、かれ。


身長の関係上、私は見上げればたけくんの顔が見える。


「えっ…」


たけくんは耳まで真っ赤で、少し目が潤んでる。


ど、どうして?


え、もしかして私、怒らせた?


いや、恥ずかしがってるって可能性も。


私が何が何だか分からずあたふたしてると…


「日野原聖夜さん!」


名前を呼ばれて思わず動きを止めて、彼の前で気をつけをする。


彼は顔を上げて、さっき私が彼を見つめたように、まっすぐに私と目を合わせた。


私の心臓はまたうるさく鳴り出す。


次の言葉が、知りたいけど、怖い。


「俺と…」


貯めるだけ溜めて、彼は笑顔で言い放った。


「俺と、結婚を前提に付き合ってください!」


手を差し出され、頭を下げられ…ん?


え?


ケッコンヲゼンテイニ…


「えぇーーーーー!」


私は生まれてから始めて、こんなに大きな声を出した。