届いて欲しい。

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「俺たちかぁ? お前らを倒しに夜の散歩
をしてたんだよ」


ニヤニヤ笑い、抜刀する男達。


「へぇ、それは楽しそうだ。

皆さん?楽しむすきが無いくらいさっさと
終わらせますよ」



「「「はっ」」」



総司の一声で抜刀する一番隊。


蒼空も抜刀し構えた。



「あ、そうでした。」


そんな呑気な声にピリッとしていた一番隊の
隊士達が拍子抜けしたように脱力する。


「なんなんだ。」

ぼそっとつい口に出す蒼空。


「今日は蒼空さんの初出勤なんですから
ぜひ、思いきってやってみましょう
てことで、みなさんは今日は休憩です。」



「「「ええーーーーっ」」」

不満轟々な彼ら。
しかし、総司の笑顔がどんどん黒く・・・


抜いていた刀をしまい、直立する彼ら。

「分かればいいんです。
蒼空さん、いきましょうか。」

まるで買い物へ行くような足取りで男たちの方へ
向かう総司の後ろを、蒼空はただ無心でついて
行った。
「終わりましたね。」


息ひとつ乱れない総司の声に
蒼空は何も言えない。


「結構いましたねぇ。」


15.6人はいただろうか。

一人で7.8人相手にするのは大変だった。


月明かりの下で見る総司は綺麗な男の子
だった。

けれど、相手に刃を向ける総司は
ただの人斬り。
けれど

誠を背負う彼らは、ただの人斬りとは
違う。
護るべきもののための刃なのだから。


そんなことを蒼空が考えている時
一番隊の隊士達が全員共通して思っていたのは
返り血で赤く黒く染まった蒼空が

月明かりに照らされ美しい

そう思っていた。
けれど、誰ひとりそれを言葉にはしない。


蒼空が戦うとき、あまりにも辛そうに
切なそうに刀を振っていたからだ。
そして今も亡骸を見つめ
悲しそうに立ち尽くしていたからだ。



「蒼空さん、帰りましょう。」



総司の声に刀を鞘に戻し
頬の返り血を拭う。


「総司、私にはこの刀が重たい。」


細く手折れそうなほど細い声は
夜の闇に消えていった。