琉駕side


「琉駕……。」


「あぁ…分かってる。」


悠華に言われ、朱音に目を向ける。


一瞬も手を止めず書き続ける朱音は
何かにとり憑かれたかの様にも見える。


許せないか…妹を殺した奴らが。


「…悠華、朱音を組の方に連れて行こうと思う。」


「そんな事したら事態は悪くなるかも
知れないのにあの子に喧嘩を教えるの!?」


「朱音が俺達の所へ行くと決めたのは
それが目的だろう。

元々俺が焚き付けておいて
何も教えなかったらそれこそ朱音が傷付く。」


これは、与えられた試練なのかも知れない。


「……酷な試練だ…まだ小さいのに。」


椅子に座る小さな背中にのしかかるものは
あの子にとって大き過ぎる。


琉駕sideEND