トクン…


聞こえるのは朱音の心音。


「嫌な夢でも見た?」


『うん…。』


「怖かった?」


『…うん。』


でも、もう怖くない。

直に触れるとここに居るって分かるから。


「暖かいね。」


聞いた事のある台詞に思わず頬が緩む。


『そりゃあ、生きてますから…。』


身体は俺の方が大きいのに
不思議と包まれている感じがして、
いつの間にか眠りについていた。

その時見た夢は悪夢とは違って
とても暖かい夢だった。


狼の拠り所 THE END