「蒼空(しえる)さんは
実喜(みき)さんが見ています。

疲れていましたか?」


『え…?あ、ううん。』


「どうしました?
着く前はあんなにはしゃいでいましたのに。」


そうだ。
今日は蒼空の誕生日のお祝いで
プライベートビーチに来たんだった…。


『昔の夢を見てて…。』


「……昔ですか。
朱音さんが『蛇蝎』を追っていた頃ですね。」


「その標的は暢気に砂遊びしてますが。」


李樹が指差す方向を見ると、
蒼空と遊ぶ魁(すぐる)と錦(にしき)の姿。


『不思議よね…。』


あんなに憎かった相手なのに
今では一緒に休日を過ごしたり相談したり。


「不思議ですね。」


その光景が微笑ましくて笑った。