カタン…


『…………夢…。』


睡魔に負けて眠ってしまったのか、
シャーペンが転がる音で目が覚めた。


『……ん?』


背伸びをすると、肩から何か落ちる。

拾うと肩掛けだった。


誰かが掛けてくれたのかな……。


ここは温かい。
私を本当の家族みたいに娘みたいに
接してくれる。


肩掛けを握り締め、
自分の中で複雑な感情が渦巻く。


『いらない、温かいのも。
優しさも、繋がりも…何も必要ない。』


私には蒼空の『約束』があれば良い。
他は何も望まない。


肩掛けを綺麗に畳み、机の端に置く。

軽く身体を解してまた本と睨めっこをした。