年度始めのため出席番号順になっている席に着くと去年と変わらず右隣の席はいない。
入学直前に何かしらの理由で入学を取り消したらしい。
ぼーっと窓の外を眺めると、この地域にしては遅咲きの桜が舞っていた。
ふいに後ろの席の女の子に声をかけられる。
「神木さんは聞いた?」
ボブカットの髪の毛を揺らしながら嬉々とした表情で言う。
しかし、私にはその問いの意味がわからなかった。
「ううん、なんかあったの?」
私は素直に尋ねる。
「それがさあ、ついに来るんだって!」
「なにが?」
少し鼻を膨らませて興奮気味に待ってました、と言わんばかりな表情で言う。
「転入生!しかもイケメン!」
「……そ、そうなんだ」
残念ながらその知らせは特に私を興奮させるものではなかった。
とは言っても、全く気にならないというわけでは無いのだけれど。
てことは、私の隣の席が埋まるのかな。
そして、一瞬だけ王子様の顔が浮かぶ。
しかし、そんな考えをすぐに否定する。
そんな少女漫画みたいな話あるわけないよね。

