はぁ……、と光輝が項垂れるのは本日2回目。
「あのなぁ、お前がそんなだから無駄に男に寄ってこられるの!俺は気が気でなら……」
余計なことを言ってしまったという風に突然口をつぐむ。
「どうしたの?」
黙ってしまった光輝の顔を覗き込む。
「あー、もう。なんでもねえよ!とにかく、そうやって人を見つめたりするのやめろよ!」
そう言うといつもより少し乱暴に扉を開けて教室の中は入っていってしまった。
なんだったのかなあ。
ひとりで考えてみても、光輝の言葉の意味はよくわからなかった。
結局、割と早めに着くはずだった教室には王子様との一件や光輝と一悶着あったことによりギリギリになってしまった。

