「えっ...。」 「えっ、て何だよ。りんごじゃダメなのかよ。」 そうだよね。 たまたまだよ。 りんごが好きなのは、たまたま...。 でも本当に、そうかな? 「なんで、りんごが好きなの?」 「へっ...そ、れは...。」 普通だったら、そんな質問に動揺はしない。 "甘くておいしいから"とか。 "シャキシャキしてるから"って、理由を言うと思う。 それか、何それって笑い飛ばす。 なのに拓くんは違う。 「幼稚園のころ、好きなやつがいて...。そいつにりんごもらったんだーー。」