「...ごめん。私、成瀬くんとは付き合えない。」
そう、これが私の考えた答え。
最近もとは元気なかったから、私まで調子狂った。
もとが元気ないと、私も元気出なかった。
笑ってほしいって、もとに笑ってほしいって、心の底から思ったんだ。
「...なんで?」
覚悟はしてたけど、成瀬くんは寂しそうだった。
そりゃそうだよね。
勇気出して告白してくれたんだから。
「私、成瀬くんが“好き”って言ってくれてうれしかった。」
「じゃあ...。」
「だけど、おかげで気付いたの。私が好きなのは“もと”だって。でも、成瀬くんのことは友だちとして...。」
「聞きたくない。」
その表情は、言い方はとても冷たくて、成瀬くんじゃないみたいだった。
「友だちとして好かれても意味ないんだ。」
いつもの成瀬くんとは別人のようだった。
私のイメージだったら、寂しそうに“そっか”とか“うん”って言いそうだなって思ってたけど、成瀬くんの言葉ひとつひとつが鋭いように私は感じた。
「付き合ってるうちに好きになることってあると思う。波瀬さんが俺を好きじゃなくても、付き合うだけ付き合ってみてほしいんだ。それでもダメだったら...。」

