「ほいサクラ」

渡されたヘルメットを被り、アキラにしがみつく。

アキラは腰を掴まれるたびにドキドキしていた。

それと同時にサクラとの時間を独り占めしている優越感もあった。



お金を払ってでもサクラと居たい男なんて数え切れない位いるだろう。

一緒にいれる俺は幸せだ。





「…やっぱメットおっきいな。サクラ用の今度買いに行こーぜ」

小柄なサクラは頭も小さいらしく、予備のヘルメットは大きいみたいだった。

「っえ///いいの?」

…くそ。可愛い。

「いいよ」


ニコニコと喜ぶサクラにときめくアキラ。

普段は周りにも割とクールなアキラだが、サクラにだけは激甘だった。



そしてサクラの要望通り寿司を食べに行き、店から出ると雨が降り出していた。

「うっわ、めっちゃ降ってるな」

外に出た瞬間ずぶ濡れの2人。

「ひどいね〜」

パッとサクラを見ると、着ていたシャツが透けて下着が薄っすらと分かる。

アキラの顔は真っ赤に。

ハタチで盛り時なだけあって、一瞬で色んな妄想が駆け巡っていた。


「サクラ、風邪引くからこれ着とけ」

アキラは着ていた黒いパーカーを脱ぎ、サクラに掛けた。


そして前のチャックまでしっかり閉め、バイクに乗った。



「アキラ、それじゃ寒いよ」

「へーき」


アキラは半袖Tシャツだった。

五月末でまだ肌寒かったが、サクラのこんな姿を他の男に見せるより何倍もマシだった。




「とりあえず、俺んちのが近いから寄ってけ」


2人共だいぶ濡れていたので、雨が止むまでアキラの家で待機することにした。