ーーートントン

「はぁい」

高い透き通る様な声。彼女だ。

カチャッ


入ると、サクラがソファに座っていた。

「だぁれ〜?」

目をパチクリさせるブロンドの彼女は、近くで見てもとてつもなく綺麗だった。

「あ、如月アキラです。明日からここで働くことになりました」

ぺこっと軽く頭を下げると、ふわっと笑うサクラ。


「そうなんだね、よろしくお願いします」

あれだけの客を掴んでおきながら、まったく高飛車でもなく、ふんわりとした対応だった。


「神崎サクラ、21歳です。アキラくんはいくつ?」

彼女の口から自分の名前が出るだけでドキンとするアキラ。

「は、ハタチ…」

「え!てっきり年上かと思っちゃった。だって大人っぽいんだもんアキラくん」

そういってハニかむサクラに赤くなる。


「ため口でいいし、サクラって呼んでいいからね〜仲良くしてね」

ニコニコと笑顔で話すサクラに、アキラは完全に恋に落ちていた。

そして、普段から敬語を使い慣れないアキラに取って嬉しい一言だった。
昔荒れていたこともあり、言葉遣いはあまり良くなかった。


「サクラさん」

「サクラでいーってば」

「っサクラ、明日からよろしく」


少々照れながらもサクラを見つめる。


「うん!よろしくね!あ、もうすぐ出番だ。じゃあ、また明日ね」

「おう、また明日」


パタパタと舞台に登っていくサクラ。

アキラはサクラの歌を聴き入り、家に帰った。

頭の中はサクラでいっぱいだった。