「……で、そのあとはいい男見つけたのか?
まさか今の男もそんな感じだとかいわないだろうな?」






そう言ってビールを飲む藤沢。
発言がどこかのお硬いお父さんのような気もするが、こいつはそういうやつだ。





「……今はいないよ、いや、もうこれからずっといないの。」






自分で言っておいて少し胸が痛んだ。
そう決めたのは私でしょと言い聞かせる。





「は?これからずっと?死ぬまで?」





ゴトッと結構大きな音をたててビールジョッキを置くと、またもやこちらをこれでもかというぐらいに凝視してくる。






「そ、死ぬまで。……ずっと。」






お前な…、と藤沢が言いかけたところを私は遮って言い訳を始めた。





「だって、もう浩人ので疲れた。私には恋愛向かないんだって。自分でもわかるもの。可愛くないし、素直じゃないし、恐れられてるし………。だからもう恋とか愛とかどうでもいい。もうしないの。」





ひとしきり言うと、頼んだ烏龍茶を、砂漠で行き倒れていた旅人ぐらいに勢いよく飲んだ。





その半分ほどを飲んでから気付く。
その飲み物が烏龍茶でないことに。






笑えるぐらい漫画みたいな展開だ。
飲んだ烏龍茶は、烏龍茶ではなくウーロンハイだとか。





度数が低いせいで、それがお酒であるとすぐに気付かなかったのだ。







いくら度数の低いものとはいえ、一気飲みに近いことをして酒に弱いやつが酔わないはずがなかった。