「お前、役職目指してるんじゃないの?」




頼んだウイスキーのロックをグイっと飲み干すと紀田は答えた。




「……最初はそんなつもりだったんだけどね。色々理由があるのよ、断るにもね。」





意味深な言葉と視線に俺はもどかしくなり、その色々な理由とやらを聞き出そうと思ったが、突然紀田は気持ち悪そうに顔を歪ませ、つぶれてしまった。





理由も聞き出せず、つぶれた紀田をなんとか家に送り、俺に部長の座への誘いがあったのはそんな日の翌日だった。