恋なんてするわけがないっ‼








月曜日になり、出社すると櫻井さんに肩を叩かれた。




「よぉ、紀田。一昨日はありがとな、助かったよ。おかげで花依ともまた今まで通りに楽しく過ごせるようになった。最近はあれのせいで少しぎこちなかったから。」



じゃあ、今日も仕事気合入れていこう、と言って片手をあげた、その櫻井さんの薬指には指輪はまっている。



あのあと、最初にいたアクセサリーショップで婚約指輪を買ったんだな、と瞬時に理解し、「おめでとうございます」と櫻井さんに伝えた。



照れ笑いを浮かべながら櫻井さんは彼のデスクに戻っていった。










「紀田。」



そう声をかけられて振り向くと、藤沢が後ろに立っていた。



今週の土日は会わなかったから2日ぶりだ。



「藤沢。おはよう。」



たったの2日だけど、最近は金曜日の夜から土曜日までどちらかの家に泊まったりとか、日曜日だけどこかに出掛けたりとか、土日のどちらかは必ず会っていたから、今会えたことにいつもより嬉しさを感じる。


自然と笑顔になって挨拶をするが、


「おはよう。」


とぶっきらぼうに返されただけだった。