「………そうか。」 ふっ、と櫻井さんが笑った。 「何ですか。」 今のはどう考えても私に対して鼻で笑った。 怒ってはいないけれど、ムッとした顔で櫻井さんを見上げた。 「紀田は自分に関することだと全く気付かないくせに、他人の事だとよく気がつくもんだなと思って。」 櫻井さんはまだ外の景色を眺めたままだ。 半分貶されている気がするけれど、そこは流す。