しばらくは紀田さんに対する「厳しい」人という意識も変わらず、心の中では少し紀田さんに反抗する気持ちもあった。 けれど同時に尊敬の気持ちも抱き始めていた。 彼女は他人に厳しいだけでなく、自分にも厳しい。 時間が足りないという理由で仕事を長引かせることは無いし、仕事に対するアドバイスも簡潔でわかりやすい。 僕とは違う世界の人、と思った。