「こんなこと言ったら悪いのかもしれないけど、藤沢って結構心配性だよね。」






冷めて美味しくなくなったコーヒーを変な顔をして飲んだ藤沢にそう言った。





藤沢はまだ顔を歪めたまま、そうかもしれないな、と言った。





しばらく空になったコーヒーカップを見つめていたが、ゆっくりと顔をこちらに向けた藤沢が私の頬に手を伸ばす。




「母さんが心配性だからその遺伝かもな。」





私の頬を彼が優しく撫でた。触れるか触れないか、風が触った程度に。



それから私のしばらく切っていない髪に触れる。指に絡めてみたり、梳いてみたり。





そうしてまた頬に触れられていた。気持ちよくて目をつぶっていた私は顔の近くに何か、藤沢の顔なのだが、の存在を感じて目を開けようとした。




もうその時には、私の唇に彼の柔らかなそれが重なっていた。




この間の朝とは違って少し私のものより熱を持ったそれは、私の唇を優しく啄んだ。




その熱に浮かされて私は口を小さく開けた。



藤沢は少し驚いたような表情を見せたが、優しく表情を緩めて先程よりもやや情熱的に唇を啄んだ。


それから私の口内にそれは入り込み、私の舌を追いかけ絡め取る。




自然と手が彼の首に回った。











それを合図にこの夜が長くなったことは、言うまでもない。