「あ、」


「ん?どうしたの?」


「いや、」









ふと頭の中で声がした。


そうや、俺はその言葉を忘れんと今まで生きてきたんや。









「紫織」


「なに??」


「俺な、K大に絶対受かるから」


「K大?!!!」


「だから、」










きゅっ、と紫織の手を握る。





確かに俺は紫織よりも年下。

でも甘えるつもりなんてないし逆に紫織の前では男らしくしたい。




…勉強教えてもらってるけど。

ゆいさんに勉強見てもらえるのも高校の勉強に辿り着いてからやけど。









「その時は俺を婿養子にしてな」










性は代わる。

そんなの関係ない。










「うんっ!!!」











俺は紫織に悲し涙を流させない。


いつだって嬉し涙しかないように。