ゆいさんに頼み込んで数日。
少しずつ俺の勉強は進んでるわけで。
「今はどこまで進んだのー?」
「中1んとこ」
「れっくん凄い!!」
「あ、ありがとう」
紫織が家に来たのは久しぶり。
専門学校に通っていて、俺も俺で高校で。
少し前までは毎日学校であってたのに。
久しぶりの家デートも俺は勉強。
「どう?ゆいの教え方はっ」
「寿さんときよりはましかも」
「やっぱりゆいは後輩思いやねっ!」
ウキウキとしながら俺も勉強を見てくれる紫織。
え?なんで中1の勉強してるかって?
それはゆいさんから小学生のドリル渡されて少しずつやってやっとここまできたっていう俺なんです。
言っておくけど勉強なんてしたことないし、本気で俺頭悪いし。
…暴走族しながら勉強してたゆいさんすげえ、マジで尊敬。
「なんか…れっくんごめんね」
「え?」
「パパが無理矢理、その、なんていうか」
持っていた赤ペンをコト、と置いて。
顔を上げればしゅんとした紫織。
確かに俺にとっては無理難題を押し付けられたと思う。
でも勉強してこなかった俺も悪いし。
それに会社を経営するというのは、きっと簡単なことじゃない。
『諦めんな』
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