タバコを吸いながら英寿さんは近付く。
っておいおい龍。
ゆいさんおらんと全然仮面作らんな。
「お前等は分かれて動け」
「え?なんでっすか?」
「力がある人間が固まるなってことや、とりあえずバラけろ」
「…………!」
それって、その意味って。
俺と龍は多少なりとも認められてるってことやんな?
「は、はい!!」
「ういーす」
「以上」
「あざっす!!」
確かに喧嘩になったときは怪我をしたものの、勝っていた。
龍も雄大さんに教えてもらったらしいし。
「あーあ、勝てねぇー」
「どしてん?」
「英寿さんのあの余裕さ、勝てねぇー」
どうやら龍が移動するらしくてバイクから下りてハンドルを持って歩いていく。
多分俺の声は聞こえてない。
…でかい一人言やな。
「解散っ!!!!」
今は龍に構ってられない。
俺は俺で白虎の名を守る。
「―…はいっ!!」
心に誓い、エンジンを吹かした。
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