私は翼が指さす方を見た。




「わぁ…!」




そこには、半円のはっきりとした、大きな虹が出ていた。




「翼!キレイだねっ!」




初めて雨を好きだと思えた。




「本当にキレイだな!」




翼と一緒じゃなかったら、きっと、雨…夕立さえ嫌いなままだった。




だから…




「翼、ありがとう」




幸せな思い出が、増えたよ。




「唯たちも見てるかなぁ…」




「きっと見てるんじゃない?そろそろ戻ろっか」





私たちは、空を眺めながら、歩いた。




虹をしっかり目に焼き付けながら。