恋のユクエ


姫川さんと最後に会ってから3ヶ月が経った。

電話してきてとは言われたものの、
わざわざ話す事もなく毎日は過ぎて行った。

姫川さんからは時々メールが来るけど、
『元気か?』とか『欲しいものはないか?』とか

何か確認作業のような内容で、
返信もワンパターンになりがちな自分に苦笑していた。


そんなある日、大学に入ってから続けている
本屋のバイトが終わりスマホを確認すると
姫川さんからの着信があった。

一時間前にかかってきていた電話に折り返すか少し悩んだ。

今、10時を過ぎている。

しばらくスマホをみつめていると、
姫川さんからの着信だった。

「はい」
あわてて通話を押すと

「もしかしてバイトだった?」
久しぶりの姫川さんの声になぜか嬉しくなった。

「はい今終わったところで折り返そうか考えてました。」

「え?なんで考えるの?」

「遅い時間だし…」

「そんな事気にしなくていいよ。それより今どこ?」

「バイト先の近くの駅に向かってます。」

「そっか、飯は?」

「バイトの前に軽く食べました。」

「ちゃんと帰り送るから今から会えない?」

「大丈夫ですよ」

「お母さん心配しない?」

「今日は夜勤なので居ません。」

「じゃあ南口で待ってて、着いたら電話するから」

「はい」

姫川さんと出会ってから、こんなに間が開いたのは初めてだったし、こんな遅い時間に会うのも初めてだった。

なんで私、緊張してるんだろう。