四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~

やがて、グールが踏み付けをやめます。

…彼の足元には、大きな血溜まりができていました。

その血の池に身を沈める、灰色の体毛の人狼…。

グールはその身をまたぎ越え、ゆっくりと私に近づいてきます。

「…!」

私は後ずさりました。

狙いは私のようです。

ジルコーの生死は定かではありません。

今は私が何とかするしかありません。

でも、どうやって?

魔術も、ジルコーほどの強力な攻撃をも受け付けないグールの肉体に、どうやってダメージを与える?

考えをめぐらせるものの、うまい手が思い浮かびません。

こうしている間にも、グールはどんどん近づいてきます。

「…っ」

私は半ば覚悟を決めました。

私一人ではどうにも出来ません。

ジルコーの手まで借りたのに、ここまでのようです。

二人がかりで、グールの胸板に穴を開けるのが精一杯だなんて…。

そんな風に考えて。






「………!」





私の頭の中に、あるアイデアが思い浮かびました。