いつまでも夢見心地でいる訳にはいきません。

私は背中から、ジルコーに道案内をします。

…公園からは公共の乗り物を使っても30分はかかるというのに、ジルコーの脚でなら、その半分にも満たない時間でした。

あっという間に海が見えてきて。

「ジルコー、あそこです」

私は指差しました。

海を臨む小高い丘にある、十字の墓標の群れ。

外人墓地です。

「よし、降りるぞ」

建物の屋根からジルコーは飛び降ります。

着地する時もあくまで柔らかく。

殆ど振動を感じさせる事なく、ジルコーは地面に降り立ちました。

「さ、到着だ」

地面に伏せるジルコー。

私は彼の背中から降りました。