今日もやっと一日が終わった。猫里律は、パソコンをたたんで帰る準備を始める。律は私立永愛学園という高校で音楽を教えている。
「えっ、なに、猫里先生、まだ仕事してたの。もう鍵閉めるよ。」
「すみません!すぐ出ますので。鍵置いてってくれれば、かけて返しに行きますよ。」
「そうかい?それならよろしく頼むよ。」
律は音楽教師で契約教師なのにも関わらず、大量の仕事を抱えていた。担任、生徒会、会計、部活の顧問。全ての仕事が終わる頃には、いつも11時をまわっていた。
職員室に鍵をかけて、警備員に鍵を返し、学校を後にする。こんな時間に帰っても、心配する人もいないし、温かいご飯もない。律は煙草に火をつけながら、今日はラーメンでも食べに行こうかと考えていた。